日本の、ある章
福島県
59の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 会津坂下町 飛露喜という酒の名前を、はじめて聞いたとき、なんだかうれしくなりませんでしたか。
- 会津美里町 会津本郷焼の窯元が並ぶ通りを歩くと、土と釉薬のにおいが、ふだんとちがう速さで鼻を通り抜けていくんですよね。
- 会津若松市 会津塗の椀を手に持つと、その重さがすこし、ちょうどいいんですよね。
- 浅川町 城山の中腹に白山比咩神社が静かに鎮まっていて、その下に社川が流れている、という重なりかたが、この土地の気質をよく表しているんですよね。
- 飯舘村 花卉栽培のビニールハウスが、道沿いにぽつりぽつりと並んでいるんですよね。
- 石川町 阿武隈川沿いの河谷に、温泉と古い社がひっそりと並んでいるんですよね。
- 泉崎村 阿武隈川と泉川が、ふだんの暮らしのそばをゆっくり流れている。
- 猪苗代町 磐梯山が北西にどっしりと構えていて、南には猪苗代湖がひろがっている、その真ん中に暮らすというのは、どんな感じなんだろうと思うんですよね。
- いわき市 小名浜港の朝、水揚げされたメヒカリやヒラメが並ぶ光景には、海と陸のあいだで動いてきた街の体温みたいなものが、ちゃんと残っているんですよ。
- 大熊町 夜ノ森公園の桜のトンネルは、約1500本がつづくんですよね。
- 大玉村 推定樹齢千年を超えるエドヒガン、馬場ザクラが、春になると村の空気をすこし変えるんです。
- 小野町 夏井川のそばに立つと、山が四方からぐるりと町を囲んでいることに、すぐ気づくんですよね。
- 鏡石町 岩瀬牧場のなだらかな草地が、台地の上にそのままある、というのが、この町のいちばんの手触りなんですよね。
- 葛尾村 凍み餅というものを、はじめて聞いたとき、なんだかその名前だけで冬の空気が伝わってくる気がしました。
- 金山町 大塩温泉の湯が、川沿いのどこかにひっそりと湧いている、というのが、この土地のぐあいをよく表しているんですよ。
- 川内村 茅葺き屋根の天山文庫に、詩人草野心平の蔵書が三千冊、ひっそりと並んでいるんですよね。
- 川俣町 絹の手触りを、この町は今もちゃんと持っているんですよね。
- 喜多方市 朝、街に出ると、蔵の壁が白くひかっているんですよね。
- 北塩原村 五色沼のそれぞれの色が、なぜみんな違うのか、歩きながらずっと考えてしまうんですよね。
- 国見町 奥州街道の古い轍の上を、東北自動車道と東北本線が重なって走っているんですよね。
- 桑折町 奥州街道と羽州街道が交わるところに、桑折という町はあるんです。
- 郡山市 安積疏水が引かれるまで、この土地はほんとうに荒れた原野だったんです。
- 鮫川村 渡瀬川の水が岩を刻んでできた江竜田の滝のそばに立つと、音だけがあって、あとは静かなんですよね。
- 下郷町 茅葺き屋根の駅舎から列車を降りると、湯野上温泉の湯気が渓谷の空気にすっと混じっているんですよね。
- 昭和村 ブナの木が、空を仕切るように立っている。
- 白河市 白河の関という言葉は、ずっと昔から歌に詠まれてきたんですよね。
- 新地町 右近清水が、こんこんと湧いている。
- 須賀川市 ボタン園をモチーフにした駅舎が、ホームに降り立った人をそっと出迎えてくれるんですよね。
- 相馬市 馬の銅像が、ふだんの道ばたにひっそり立っているんですよね。
- 只見町 茅葺きの屋根が雪の重さをゆっくり受け止めている、そういう土地なんですよね。
- 棚倉町 亀ヶ城公園の堀端を歩くと、土塁がそのまま残っていて、ここに城があったんだなあ、と足の裏から伝わってくるんですよ。
- 玉川村 阿武隈川が村の中央をゆっくりと流れていて、その水音がふだんの暮らしの背景にある、そんな場所なんですよね。
- 田村市 阿武隈高地の山ひだに、鍾乳洞がいくつも口を開けているんですよね。
- 伊達市 洋風の外観をくぐると、内側はしっかりと和の木組みになっている、という旧亀岡家住宅のつくりが、この土地の気質をよく表しているんですよね。
- 天栄村 二岐温泉の湯は、969年に開かれたというから、ずいぶん長いあいだ、この山の奥でひっそりと湧いていたんですよね。
- 富岡町 夜ノ森の桜並木を歩くと、2.2キロ続く道の静けさに、ちょっと驚くんですよね。
- 中島村 阿武隈川と泉川が、平らな田んぼのあいだをゆっくり流れているんですよね。
- 浪江町 請戸漁港に、競りの声が戻ってきたんですよね。
- 楢葉町 Jヴィレッジのピッチに朝の光が落ちるころ、この町はすでに動いている。
- 西会津町 野沢駅の無料レンタサイクルを借りて、阿賀川ぞいをすこし走るだけで、この町のぐあいがわかってくるんです。
- 西郷村 新白河駅のホームに降り立つと、新幹線の風がすっと消えて、那須連峰の方角からの空気がやってくるんですよね。
- 二本松市 酒蔵の軒が続く通りを歩くと、麹のにおいがすこしだけ鼻をくすぐって、ああ、ここは醸す町なんだなあ、と思うんですよね。
- 塙町 磐城塙駅の建物に、図書館が入っているんですよね。
- 磐梯町 磐梯町駅の木造駅舎を出ると、すぐそこに山がある、というのが、この町の基本的なぐあいなんですよね。
- 檜枝岐村 雪の重さに耐えるように、民宿の屋根がどこも同じ角度に揃っている。
- 平田村 阿武隈山系のなだらかな稜線に囲まれた山あいに、羊肉を焼く煙がなじんでいる、というのが、この村の最初の印象なんですよね。
- 広野町 広野駅の発車メロディーに童謡が流れているのを、はじめて聞いた人はすこし驚くかもしれない。
- 福島市 桃と梨の果樹園が、盆地の斜面にびっしりと根を張っている。
- 双葉町 双葉駅のホームに降り立つと、空がひろくて、すこし、しんとしているんですよね。
- 古殿町 鮫川が山のあいだをゆっくりと東へ向かって流れていて、その両岸に田んぼと集落が、ぴったり寄り添うように並んでいるんです。
- 三島町 ヒロロ編みのカゴを手に取ると、山の暮らしがそのまま指先に伝わってくる感じがするんですよね。
- 南会津町 前沢集落の曲り家が、雪の重さをそのまま形にしたような屋根の角度で、道沿いに並んでいるんです。
- 南相馬市 相馬野馬追の蹄の音が、まだ空気の中にのこっているような場所なんです。
- 三春町 高柴デコ屋敷の工房では、三春張子人形の木型が棚いっぱいに並んでいて、その数のおおらかさに、ちょっと笑ってしまうんですよね。
- 本宮市 阿武隈川が盆地をゆっくり縦に割るように流れていて、そのそばに国道4号と東北本線が並走している、というのが本宮の骨格なんですよね。
- 柳津町 粟饅頭の甘い匂いが、圓蔵寺の石段のあたりにうっすら漂っているんですよね。
- 矢吹町 大賀ハスの花が、大池公園の水面にぽつりぽつりと開く季節があるんですよね。
- 矢祭町 久慈川の水音が、ふだんの暮らしのBGMになっている、そういう場所なんですよね。
- 湯川村 田んぼの向こうに、勝常寺の屋根がすっと見えるんです。