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この場所の物語
絹の手触りを、この町は今もちゃんと持っているんですよね。かわまたおりもの展示館に入ると、養蚕から機織りまでの道のりがひとつながりに見えて、平安の時代からここで糸が紡がれてきたことが、急にふだんのこととして感じられるんです。
阿武隈高地の丘陵に囲まれた地形は、どこか奥まっていて、でも国道114号と349号が交わる場所でもあって、閉じているようで開いているという、すこしおもしろいぐあいをしています。峠の森自然公園でそばを打ったり、道の駅川俣で川俣シャモの味を確かめたりしながら、この町のリズムにだんだん慣れていく、そういう時間のかけ方が似合う場所だと思うんです。
コスキン・エン・ハポンという南米音楽の祭りが、この山間の町で毎年ひらかれているというのも、なんだかいいなあ、と思います。絹の伝統と川俣シャモという新しいブランドと、遠い国の音楽とが、同じ川俣町中央公民館の周りにあるわけで、この町が変わりながらも何かを手放していない、その感じが、訪れた人にもじわりと伝わってくるんですよね。
福島県川俣町に泊まる