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この場所の物語
凍み餅というものを、はじめて聞いたとき、なんだかその名前だけで冬の空気が伝わってくる気がしました。阿武隈高地の中ほど、標高のある山あいに葛尾村はあって、高瀬川と葛尾川が村をそっと挟むように流れているんです。
2011年に全村民が避難し、2016年から少しずつ暮らしが戻ってきた村で、いまは太陽光発電を使ったスマートコミュニティの仕組みを、村ごとつくり直しているところなんですよね。復興交流館あぜりあや、郷土文化伝承保存館といった場所が、その歩みをそのまま受け止めている。
三匕獅子舞が伝わる村の記憶と、これから設計される暮らしのかたちが、同じ地面の上に並んでいる。そういう場所に長く滞在すると、「再生」というものが抽象的な言葉でなく、道の舗装のぐあいや、宿泊交流館せせらぎ荘の湯の温度として、ちゃんと手に触れてくるんです。どこからきた人にとっても、ここにあるのは完成した景色じゃなくて、現在進行形のふつうの日々で、それがかえってすこし、いいなあと思う。
福島県葛尾村に泊まる