日本の、ある章
鹿児島県
43の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 姶良市 龍門司焼の器を手に取ると、薩摩の土の重さと、窯の記憶がじわっと伝わってくる気がするんですよね。
- 阿久根市 東シナ海から引き上げられた伊勢海老が、朝の阿久根漁港に並ぶ。
- 天城町 サトウキビ畑の向こうに、井之川岳のなだらかな稜線が見えているんですよね。
- 奄美市 大島紬の糸を手繰るように、この島の時間はすこし独特のかたちをしているんです。
- 伊佐市 九州山地に囲まれた盆地の底で、伊佐米が育つんですよ。
- 出水市 冬の出水平野に立つと、ツルの声が空気にまじっているんです。
- 伊仙町 琉球石灰岩が地面のすぐ下に広がっていて、雨が地に染みこむより先に、どこか見えない洞へと流れていくような感じがあるんです。
- いちき串木野市 串木野漁港に水揚げされたマグロのことを、この町の人たちはごく当たり前に話すんですよね。
- 指宿市 砂の中に埋まって、じわりと体があたたまっていく、あの感覚を知っていますか。
- 宇検村 焼内湾の水面は、思ったより静かなんですよね。
- 大崎町 志布志湾に向かって、豚やブロイラーを育てる農地がひらけている。
- 鹿児島市 桜島の灰が、ふだんの暮らしにそっとまじっている、そういう街なんですよね。
- 鹿屋市 黒豚やカンパチが、ここでは「ふだんの食材」としてそこにあるんですよね。
- 喜界町 サンゴが積み重なって島になった、というのが、ここではふだんの話なんですよ。
- 肝付町 内之浦の空に、ロケットが飛んでいった。
- 霧島市 霧島山の火山地形が、そのまま暮らしの地盤になっている、というのがここの面白さなんですよね。
- 錦江町 照葉樹の森が、山の稜線を濃い緑でふちどっている。
- 薩摩川内市 入来麓の武家屋敷群を歩いていると、石垣と生け垣がつくる路地がいまも静かに続いていて、ちょっと、時間の層を踏んでいる感じがするんですよね。
- さつま町 川内川の河畔に、湯田区営温泉のちいさな共同浴場がある。
- 志布志市 志布志港から荷が動く音と、夏井漁港でトラガニやはもが水揚げされる気配が、この町のふだんをつくっているんですよね。
- 瀬戸内町 古仁屋港から町営フェリーに乗ると、大島海峡の水がアマミブルーと呼ばれるわけが、すこしだけわかるんですよね。
- 曽於市 黒毛和牛と豚肉を育てる農家の暮らしが、この内陸の台地にはふつうにあるんです。
- 龍郷町 隆起珊瑚礁の岩場が、海へとそのまま崩れ落ちていくような地形を、奄美大島の東側でしずかに見ることができるんです。
- 垂水市 鹿児島湾を隔てて桜島と向き合いながら、この土地は1914年の大噴火でその桜島と地続きになった、という事実が、垂水市という場所の輪郭をすでに語っています。
- 知名町 えらぶゆりの白い花が、島の畑でそっと立っているのを想像すると、なんだかすこし遠い場所に来た気がするんですよ。
- 徳之島町 亀津の港に船が着くたびに、この島に暮らすということが、すこし具体的に見えてくる気がするんです。
- 十島村 フェリーとしま2が鹿児島港を出て、黒潮の上を九時間かけて走りつづける、その長さそのものが、十島村への入り口なんですよね。
- 中種子町 サトウキビ畑のあいだを国道58号が縦に貫いていて、その道沿いに製糖工場の建物がぽつりと立っている、そういう景色がここの日常なんですよね。
- 長島町 黒之瀬戸大橋を渡ると、橋のたもとにある道の駅黒之瀬戸だんだん市場から、もうすでに海の匂いがするんですよね。
- 西之表市 種子鋏の刃先みたいに、この島の輪郭はきっぱりしているんですよね。
- 日置市 吹上浜の砂が、ずいぶん長く続くんです。
- 東串良町 古期砂丘の上に、百を超える古墳がひっそりと並んでいるんですよね。
- 枕崎市 枕崎漁港に朝の水揚げを見に行くと、カツオの銀色がまだ暗い岸壁にひかっていて、なんだかその光景だけで、この町のことがすこしわかる気がするんですよね。
- 三島村 東シナ海のまんなかに、鬼界カルデラの火口が沈んでいる。
- 南大隅町 佐多岬まで続く道を走ると、山がちな地形がそのまま海へと落ちていく、そういう土地なんですよね。
- 南九州市 茶畑のあいだを車で走ると、緑の列がずっと続いていて、それが知覧茶の産地なんだと気づいたとき、なんだかふだんの暮らしの奥行きみたいなものを感じるんですよね。
- 南さつま市 吹上浜の砂が、風に運ばれて靴の中に入ってくる、あの感じ。
- 南種子町 門倉岬の断崖に立つと、海の向こうからポルトガル人が船を着けた1543年と、ロケットが空へ向かう現在が、おなじ水平線の上に重なって見えるんですよね。
- 屋久島町 白谷雲水峡の苔は、雨に濡れると光るんですよね。
- 大和村 湯湾岳の原生林が、村のまん中に静かにそびえている。
- 湧水町 吉松駅のホームに降り立つと、線路の静けさがまず体に届くんですよね。
- 与論町 珊瑚礁の浅い海が、島をぐるりと縁取っている。
- 和泊町 えらぶゆりが、畑のなかで白く揺れているのを見ると、この島の暮らしの軸がどこにあるのか、なんとなくわかる気がするんですよね。