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この場所の物語
冬の出水平野に立つと、ツルの声が空気にまじっているんです。10月を過ぎると出水平野にツルが渡ってきて、3月まで越冬する——その事実だけで、この土地が持つ時間の尺度が、ふだんの暮らしとすこしちがうことに気づきます。出水市ツル観察センターの窓越しに群れを眺めながら、PCを開いて仕事をしている自分を想像すると、なんだかおかしくて、いいなあと思うんですよね。
出水麓を歩くと、江戸時代の薩摩藩の武士団が暮らした町割りが、いまも道の角に残っていて、歴史の密度がふつうじゃないんです。加紫久利神社は延喜式にも記された古い神社で、野間之関所の跡とあわせて歩くと、肥薩国境の防衛拠点だったこの土地の輪郭が、じわりと浮かんでくる。散歩の途中でさつま木挽の焼酎を買って帰る、そういうふだんの動線に、歴史がさらっとまじっているんです。
農業用フィルムや自動車部品の工場、名護や桂島の漁港、そら豆やスナップエンドウの畑——生業の種類がおどろくほど多くて、暮らしの選択肢がいくつも重なっている土地だなあと感じます。ラムサール条約に登録されたツルの渡来地と、現代の産業とが、同じ平野の上にある。その組み合わせが、出水の手触りをすこし、ふしぎにしているんだと思います。
鹿児島県出水市に泊まる
この場所の中身
この地に重なるもの
- 鹿児島県のツルおよびその渡来地
- 出水市出水麓
- 矢筈岳
- 出水
- 出水
- 西出水
- 野田郷
- 米ノ津
- 高尾野
- 名護
- 桂島
- 野口
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