日本の、ある章
兵庫県
41の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 相生市 相生湾の入り組んだ水際に立つと、造船所のシルエットがそのまま町の輪郭になっているのがわかるんです。
- 明石市 東経135度の子午線が、まちのど真ん中を縦に走っているんですよ。
- 赤穂市 塩の白さが、この町の記憶をつくってきたんですよね。
- 朝来市 坑道の奥に続く石畳が、まだ足の裏に残っているような感じがするんですよ。
- 芦屋市 芦屋川の駅を出ると、川沿いの道がすぐそこにあって、上を見れば六甲山地、下を向けば大阪湾が、ちゃんとそこにあるんですよね。
- 尼崎市 防潮堤のそばに、ちゃんと暮らしがあるんですよね。
- 淡路市 線香の煙が、島のどこかでいつもゆっくりと空に溶けているような気がします。
- 伊丹市 酒蔵の白壁が、ふだんの通勤路のそばにさりげなく立っている、というのが伊丹という土地のおもしろいところなんですよね。
- 市川町 刀鍛冶の技から生まれたアイアンヘッドが、今もこの町で打ち出されているんですよね。
- 猪名川町 日生中央駅のホームに降り立つと、大阪の空気とはすこし違う、山のにおいがするんですよね。
- 稲美町 ため池の水面が、田んぼの向こうでひかっている。
- 小野市 播州そろばんの玉を弾く音って、どこか落ち着くんですよね。
- 加古川市 かつめしという料理が、この土地の気質をよく表している気がするんですよね。
- 加西市 播磨平野の真ん中に、ため池がいくつも光っているんですよね。
- 加東市 佐保神社の石畳のそばに暮らしがある、というのが加東市のふだんの感じなんですよね。
- 神河町 砥峰高原のススキが、秋の風にざわざわと揺れている。
- 上郡町 千種川の水が、岡山との県境をゆるゆると越えていく。
- 香美町 余部鉄橋の橋脚が、40メートルの高さから日本海をまっすぐ見下ろしているんです。
- 川西市 猪名川のほとりに、源満仲が多田院を建てたのは、もう千年以上前のことなんですよね。
- 神戸市 神戸港の岸壁に立つと、山と海がほんとうに近い、ということがよくわかるんですよね。
- 佐用町 晩秋の朝、平福の連子窓の古民家が霧の中にぼんやりと浮かぶ。
- 三田市 千丈寺湖のほとりに立つと、水面のむこうに山の稜線がゆっくり重なって、ああ、ここはふつうの郊外とはちょっとちがうんだなあ、と思うんです。
- 宍粟市 千種川の水が、そのまま名水百選に選ばれているくらいだから、ここの山はほんとうに水を丁寧に育てているんですよね。
- 新温泉町 荒湯の湯気が、山の斜面を白くけむらせる朝というのは、なんだかそれだけで一日の始まりとして十分な気がするんですよね。
- 洲本市 赤レンガの壁のなかに、本棚と海の光が一緒にある。
- 太子町 八角形の建物というのが、なんかいいんですよね。
- 高砂市 竜山石というのは、古墳時代から切り出されてきた石なんですよね。
- 多可町 杉原紙を漉く水音が、この山あいの町の底に、ずっと流れているような気がするんですよね。
- 宝塚市 宝塚大劇場のそばを歩くと、炭酸せんべいを売る店の前に、ふつうのかっこうをした人たちが並んでいたりするんですよね。
- たつの市 白壁の土蔵が並ぶ路地を歩いていると、醤油の香りがどこからともなく漂ってくるんですよね。
- 丹波篠山市 秋の朝、篠山盆地に丹波霧がかかると、城下町の輪郭がすこしだけ曖昧になって、武家屋敷の板塀も妻入商家の格子も、ぼんやりと霧の中に溶け込んでいくんですよね。
- 丹波市 丹波霧が谷を埋める朝、加古川と由良川の水がそれぞれ別の海へと向かう分水界が、海抜のごく低いところにひっそりとあるんですよね。
- 豊岡市 豊岡鞄の革の匂いと、城崎温泉の湯けむりが、おなじ盆地の空気にまざっているんですよね。
- 西宮市 宮水という言葉が、この土地のことをうまく言い当てている気がするんです。
- 西脇市 Y字路が、やたらと多いんですよね、この町。
- 播磨町 大中遺跡公園の竪穴建物が、ちいさな丘の上にぽつんと立っているんですよね。
- 姫路市 えきそばの出汁の香りが、姫路駅のホームにするっと漂ってくるんですよね。
- 福崎町 旧辻川郵便局が、いまカフェとホテルの客室になっているんですよね。
- 三木市 鋸や鏝を打つ音が、この町の底に静かに通っている、そんな気がするんです。
- 南あわじ市 淡路タマネギの畑が、島の南まで続いているんですよね。
- 養父市 朝倉山椒の香りは、江戸の昔から献上品として扱われてきた、というのがなんだかうれしいんですよね。