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この場所の物語
芦屋川の駅を出ると、川沿いの道がすぐそこにあって、上を見れば六甲山地、下を向けば大阪湾が、ちゃんとそこにあるんですよね。南向きの斜面にへばりつくように住宅が並んでいて、その傾斜のぐあいが、この町の体格そのものな気がします。
滴翠美術館や俵美術館が川のそばにさりげなく建っていて、書画や陶芸が、特別な日じゃなくてもふだんの散歩のついでに見られる、というのがいいんですよね。旧芦屋市営宮塚町住宅は石造りの市営住宅がアトリエやカフェに変わっていて、古いものをそのまま使い続けようとする、この町のおだやかな意志みたいなものが伝わってきます。
1929年竣工の電話交換局だった芦屋モノリスが、いまはレストランとして使われていたり、明治期の銀行建築が図書館の分室になっていたり、建物の時間の重なり方がすこしふしぎで、いいなあと思います。阪神間モダニズムという言葉が示すように、戦前からの進歩主義的な気風がこの地形と混ざり合って、ここにしかない暮らしの密度をつくっているんだと、歩くほどにじわじわ感じてくるんです。
兵庫県芦屋市に泊まる