日本の、ある章
岩手県
33の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 一関市 もちを300種類以上の食べ方で受け継いできた土地というのは、それだけで暮らしの密度のようなものを感じさせますよね。
- 一戸町 土の中から珪化木が出てくる、という話がいいんですよね。
- 岩泉町 龍泉洞の水は、ここでは水道水として毎日の暮らしに使われているんですよね。
- 岩手町 北上川が、東西の山地のあいだを静かに南へ下っていくんですよね。
- 奥州市 北上盆地の土をじっくり踏んでみると、稲と牛と鉄が、ふだんの暮らしのすぐそばにあることがわかるんですよ。
- 大槌町 蓬莱島が、大槌湾にぽこんと浮かんでいる。
- 大船渡市 黒色泥岩の扁平石が波に磨かれて浜を埋めている、その碁石海岸の足もとを歩いていると、石の重みと海のつながりが、ずいぶん長い話をしているんだなあと感じます。
- 金ケ崎町 城内諏訪小路の石畳を歩くと、江戸の武家町がそのまま残っていて、ちょっとびっくりするんですよね。
- 釜石市 高炉の跡地に立つと、石組みのかたちが、ここでいちばん最初に鉄が生まれた場所だということを、静かに教えてくれるんですよね。
- 軽米町 雪谷川の岸に立つと、北上山地の北の端まで来たんだなあ、と体で感じるんです。
- 北上市 北上川と和賀川がのんびり合わさるあたりに、工場の灯りと田んぼが並んでいるんですよね。
- 久慈市 白亜紀の地層から掘り出された琥珀が、久慈琥珀博物館の坑道にそのまま眠っているんですよね。
- 葛巻町 牧草の匂いと、冬の雪の重さを、そのまま瓶に詰めたような場所なんですよね。
- 九戸村 瀬月内川が谷底を静かに南北に流れ、その両側を北上山地の丘陵がぐるりと囲んでいる。
- 雫石町 エメラルドグリーンの湯が、岩肌からしずかに湧いている。
- 紫波町 北上川が、河岸段丘をゆっくりと削りながら流れているんですよね。
- 住田町 気仙スギの香りは、ここでは建物のなかにまで入ってくるんですよね。
- 滝沢市 岩手山の裾野に、住宅地と牧草地がゆるやかに混ざり合って広がっている。
- 田野畑村 標高二百メートルほどの断崖が、そのまま海に落ちていく。
- 遠野市 猿ヶ石川の流域に、霧がおりている。
- 西和賀町 和賀川沿いの道を走ると、山がどんどん近くなって、気づけば谷の底にいるんですよね。
- 二戸市 浄法寺塗の椀を手に取ると、漆の重さが手のひらにやさしく乗ってくるんです。
- 野田村 野田湾に向かって、山が急に落ちる。
- 八幡平市 岩手山の麓に、溶岩がそのまま固まった焼走り溶岩流が広がっていて、近づくと、地面がまだどこか緊張しているような気がするんです。
- 花巻市 宮沢賢治記念館のある丘から、北上平野がすっと開けているのを見ると、ああ、ここが「イーハトーブ」だったんだなあ、と、すこし静かな気持ちになるんですよね。
- 平泉町 金色堂の金箔が、薄暗い覆堂の中でぼんやりと光っているのを見たとき、これはただの観光地じゃないな、と思うんですよね。
- 洋野町 岩盤が沖合まで平たく張り出した海底に、昆布やワカメがゆっくり育っていく。
- 普代村 断崖の縁に立つと、太平洋がただそこにある、という感じがするんですよね。
- 宮古市 浜から引き上げられた毛ガニを、箱に並べる手つきがいいんですよね。
- 盛岡市 寺町通りをゆっくり歩くと、神社仏閣の石垣がつながって、城下町の骨格がまだちゃんとそこにあるのがわかるんですよね。
- 矢巾町 徳田米が育つ田んぼと、物流の大型トラックが国道4号を行き交う光景が、ここでは当たり前のように並んでいるんです。
- 山田町 リアス式海岸の入り江が折り重なるように続いていて、どこを切り取っても、海と山がぎゅっと近いんですよね。
- 陸前高田市 広田湾から吹いてくる潮のにおいが、この土地の記憶と混ざり合っているんですよね。