1件の予定
北上・鬼剣舞
鬼が、剣を持って踊る。 岩手・北上。鬼剣舞は、鬼の面をつけた踊り手が、剣を手に激しく舞う民俗芸能だ。仏教の影響を受けた芸能で、悪霊を払う意味がある。 動きが速い。音が激しい。で…
鬼が、剣を持って踊る。
岩手・北上。鬼剣舞は、鬼の面をつけた踊り手が、剣を手に激しく舞う民俗芸能だ。仏教の影響を受けた芸能で、悪霊を払う意味がある。
動きが速い。音が激しい。でも、よく見ると、その動きには深い意味がある。
8月の北上の夜、みちのく芸能まつりで鬼剣舞が集結する。各地の座が一堂に会し、競うように舞う。
鬼は、怖いものか。
ここの鬼は、守るものだ。
悪霊を払う力がある鬼が、踊りになった。
北上は、展勝地の桜と鬼剣舞で知られる。でも桜の季節より、8月の祭りの方が、この街の本質に近い気がする。
鬼の面越しに、岩手を見る。
北上川と和賀川がのんびり合わさるあたりに、工場の灯りと田んぼが並んでいるんですよね。キオクシアの半導体工場と、二子さといもの畑が、ほとんど同じ風景の中にある。そのちぐはぐさが、この盆地の今のぐあいをよく表している気がします。
北上駅には東北新幹線も止まるし、東北自動車道と秋田自動車道の結び目でもあって、どこかへ出るにも、どこかから来るにも、すこし動きやすい場所なんです。展勝地の北上川沿いをぶらぶら歩いたあと、みちのく民俗村で屋外の古民家をゆっくり見てまわる、そういう半日の使いかたが、ここにはよく似合う。
西の山のほうへ向かうと、夏油高原温泉郷があって、入畑温泉や瀬美温泉といった湯どころが点在しています。夏油温泉には石灰華群があって、天狗の岩と呼ばれる岩がそこにある。都市の側とは、ぜんぜん別の時間が流れていて、そのふたつが同じ市の中に収まっているのが、ふしぎでいいなあと思うんです。
鬼の館という博物館があって、鬼剣舞という祭りの文化をここで受け継いでいる。江釣子古墳群の円墳が百基以上、静かに丘に並んでいる。暮らしの足元に、そういうものがさりげなく置いてある土地なんですよね。
岩手県北上市に泊まる