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花巻まつり
ひとつの祭りに、いくつもの踊りが集まる。 岩手・花巻の秋。神楽、鹿踊、花巻ばやし、風流山車、神輿。三日間、町が芸能で埋まる。 なかでも、鹿踊。頭に鹿の角、背に長いささらを背負った踊…
ひとつの祭りに、いくつもの踊りが集まる。
岩手・花巻の秋。神楽、鹿踊、花巻ばやし、風流山車、神輿。三日間、町が芸能で埋まる。
なかでも、鹿踊。頭に鹿の角、背に長いささらを背負った踊り手が、太鼓を打ちながら跳ねる。東北だけの、独特の芸能だ。
起源は四百年以上前。この地を治めた北松斎を慕い、領民が感謝を込めて始めたという。
ここは、宮沢賢治の故郷。
賢治は、鹿踊が好きだった。『鹿踊りのはじまり』という童話まで書いた。
百を超える神輿が連なる。笛と太鼓が、幾重にも重なる夜。
賢治が見ていた東北の魂が、いまも、ここで跳ねている。
岩手を代表する秋祭り。
宮沢賢治記念館のある丘から、北上平野がすっと開けているのを見ると、ああ、ここが「イーハトーブ」だったんだなあ、と、すこし静かな気持ちになるんですよね。
豊沢川沿いに台温泉や志戸平温泉が連なっていて、湯治場の歴史を持つ宿に数日、PCを持ち込んでみると、朝に湯、昼に仕事、夕にまた湯、というぐあいが、ふだんの暮らしよりずっとていねいに感じられるんです。花巻空港と東北新幹線の新花巻駅が近いところに並んでいるのも、多拠点で動く人には、ちょっとうれしい立地なんですよね。
早池峰神楽や花巻まつりのような祭事が、今も地域のなかで息をしていて、わんこそばも台焼も、「名産品」というより「ここにある食べもの」として、ふつうの店先に並んでいる。訪れた人が「日本っぽい」と感じる風景が、観光用に整えられた場所ではなく、暮らしのなかにそのまま残っているのが、この土地のいいところだと思うんです。
岩手県花巻市に泊まる