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この場所の物語
和賀川沿いの道を走ると、山がどんどん近くなって、気づけば谷の底にいるんですよね。奥羽山脈が三方を囲むこの地形は、冬になると途方もない雪を積み上げて、集落をまるごと別の季節に連れていく。湯田温泉峡の湯につかりながら、そのことをぼんやり考えるのは、いいものです。
碧祥寺博物館には、マタギ文化の道具や「まるきぶね」が、ひっそりと、でも確かに置いてある。そこには、雪と山と川とともにふだんを生きてきた人たちの、手の記憶があるんです。あけび蔓細工も、そういう手の延長線上にある工芸で、見ていると、この土地の時間の使い方がすこしわかる気がします。
松川温泉の乳白色の湯は、十和田八幡平国立公園のなかに、ひっそりと2軒だけ。銀河高原ビールを一本持ちこんで、雪の音を聞きながら過ごす夜は、なかなか他では組み立てられない時間です。産地直売所ファームさくらで買ったまいたけを自炊するような、そういうふだんの積み重ねが、この渓谷では意外と自然にできてしまう。
岩手県西和賀町に泊まる
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