日本の、ある章
宮城県
35の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 石巻市 北上川の水が海に溶けるあたりに、この街のいちばんの手触りがある気がするんです。
- 岩沼市 武隈の松の根元に立つと、松の木というのが、ただの木じゃなくて、時間そのものを形にしたものなんだなあ、とおもうんです。
- 大河原町 白石川の両岸に桜並木がつづく、あの風景を一度見ると、この町の骨格がわかる気がするんですよね。
- 大崎市 稲穂と湯けむりが、おなじ土地から立ち上がっているんですよね。
- 大郷町 モロヘイヤの畑が、吉田川沿いの水田のあいだにぽつぽつと並んでいる。
- 大衡村 なだらかな丘陵が、ふだんの視界をやさしくおさえている村なんですよね。
- 女川町 牡鹿半島のリアス式海岸に抱かれた入り江に、ギンザケとホタテの養殖いかだが並んでいる。
- 角田市 阿武隈川が盆地のまんなかをゆっくり流れていて、東西の山地がその両側をそっと抑えている、という地形が、角田の暮らしの基本的なかたちをつくっているんですよね。
- 加美町 奥羽山脈の懐に入っていくと、山と川と、それから古い遺跡が、ごく自然にとなりあっているんですよね。
- 川崎町 蔵王連峰の東側、湯気がゆっくりと山の斜面に溶けていくあたりに、川崎町はあるんです。
- 栗原市 稲穂の向こうに、栗駒山がどっしりと構えているんですよね。
- 気仙沼市 北海道から九州まで、各地の漁船が気仙沼の港に集まってくるんですよね。
- 蔵王町 遠刈田温泉の湯は、1601年に開かれたという記録が残っていて、その長さをふと想像すると、なんだかすこし遠い気持ちになるんですよね。
- 塩竈市 港の朝、水産物仲卸市場に並ぶ生マグロの赤が、まだ眠そうな照明の下でひときわ鮮やかなんですよね。
- 色麻町 鳴瀬川のそばに田んぼが続いていて、えごまを育てる畑がその合間にある、というのが色麻町のふだんの風景なんですよね。
- 七ヶ宿町 白石川の水が、この土地のすべてを決めてきたんだなあ、と思うんですよね。
- 七ヶ浜町 半島の先端に、縄文の環状集落の跡がある。
- 柴田町 白石川の土手に立つと、春のある時期だけ、列車がいつもよりゆっくり走るんですよ。
- 白石市 白石温麺の細さが、この土地の几帳面さを教えてくれる気がします。
- 仙台市 広瀬川沿いに青葉山が迫るこの街は、ふだんの買い物も、週末の散歩も、どこかに歴史の重なりがあって、それがそっと生活に混じり込んでいるんです。
- 大和町 酒の穀田屋の暖簾をくぐると、江戸の義人が米と誠実さで積み上げてきた商いの気配が、ふだんの棚に並んでいるんです。
- 多賀城市 多賀城跡の政庁址に立つと、草がふつうに生えていて、ふつうに風が吹いていて、それでいて足の下に古代陸奥国府があるんですよね。
- 富谷市 奥州街道が今も国道4号として市内を縦断しているって、ちょっとおもしろいですよね。
- 登米市 広い田んぼの向こうに、明治の洋風校舎がぽつんと立っているんですよね。
- 名取市 閖上港の赤貝やヒラメが、朝のうちに水揚げされていく。
- 東松島市 里浜貝塚の土の中に、縄文の人たちが貝を積み上げた記憶がある。
- 松島町 松島湾の多島海は、丘陵が海にゆっくりと沈んでいった地形のなれの果てで、島という島が、ちょうどいい距離感で浮かんでいるんですよね。
- 丸森町 阿武隈川が山地を割るように流れていて、その両岸のほとんどが木々で覆われているんですよね。
- 美里町 大崎平野の、すこし小高い段丘の南面に立つと、足もとに何層もの時代が積み重なっているのがわかるんですよね。
- 南三陸町 志津川漁港の朝、水揚げされたギンザケやホヤが並ぶ光景は、この土地が海とともに生きていることを、ただ静かに示しているんですよね。
- 村田町 なまこ壁の土蔵が、通りにずらりと並んでいるんですよね。
- 山元町 西から山が迫り、台地に果樹園が広がり、東で太平洋に開く、その三段の地形が、この町の暮らしをそのまま映しているんですよね。
- 利府町 利府梨の果樹園と、松島湾から運ばれてくる潮のにおいが、同じ丘陵のなかに重なっている。
- 涌谷町 砂金採り体験ができる博物館が、田んぼのまんなかにある、というのがいいんですよね。
- 亘理町 イチゴ畑の向こうに、阿武隈川の水面がひかっている。