日本の、ある章
高知県
34の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 安芸市 伊尾木洞の奥に、40種ものシダがびっしりと壁を覆っている。
- いの町 土佐和紙の繊維が水に溶けていくように、いの町の暮らしもゆっくりと仁淀川に沿っている、そんな感じがするんですよね。
- 馬路村 ユズの香りというのは、瓶のふたを開けた瞬間に、山ごとやってくる感じがするんですよね。
- 大川村 早明浦ダムの水面が、かつての村の暮らしを静かに沈めたまま、いまも山のあいだで光っているんですよね。
- 大月町 太平洋と宿毛湾、ふたつの海に挟まれた岬の先のほうに、この町はあるんです。
- 大豊町 杉の大スギの根元に立つと、根周りがそのまま小さな丘のようになっていて、見上げても梢がどこにあるのか、すぐにはわからないんですよね。
- 越知町 仁淀川と坂折川と柳瀬川の、三つの流れが合わさる場所があるんですよね。
- 香美市 土佐打刃物の鉄が、こんな山の奥で打たれていると聞くと、なんだか合点がいくんですよね。
- 北川村 ユズの香りは、ここでは暮らしの一部なんですよね。
- 黒潮町 入野松原のクロマツが、約4キロにわたって海岸線に沿って並んでいるんです。
- 芸西村 なすとピーマンが畑に並び、製糖の香りが伝承館のあたりに漂う、そういう村なんですよね、芸西村は。
- 高知市 路面電車が帯屋町のアーケードをかすめるように走って、乗客がそのまま日曜市へ流れていく、そういうふだんの動きが高知にはあるんですよね。
- 香南市 どろめ祭りの季節、マイワシの稚魚を豪快に飲み干す大杯飲み干し競争が港の空気を揺らす、そういう土地なんですよね。
- 佐川町 司牡丹酒造の蔵が通りに面して建っている、そういう町なんですよね。
- 四万十市 碁盤の目に区切られた中村の町を歩くと、土佐一条氏が京都を写し取ろうとした気持ちが、なんとなくわかる気がするんです。
- 四万十町 四万十川のほとりで、仁井田米の田んぼを眺めていると、水と土と山がひとつながりになっているのがわかるんです。
- 宿毛市 宿毛湾の水は、波がすくないぶん、空の色をそのまま映しているんですよね。
- 須崎市 鍋焼きラーメンの土鍋が、ことことと煮えている。
- 田野町 太陽だけで仕上げる完全天日塩というものが、土佐湾の光と風の強さをそのまま教えてくれるんですよね。
- 津野町 雲の上から水が生まれる、というのが、ここでの実感なんですよね。
- 東洋町 野根川が山のほうからゆっくりと海へ出てくる、その河口のあたりに立つと、山と太平洋がずいぶん近いんだなあ、と実感するんですよね。
- 土佐市 日が長い、とおもうんですよね、ここにいると。
- 土佐清水市 太平洋に向かって半島がぐっと突き出している、その先端に立つと、陸地の終わりというものをからだで感じるんですよね。
- 土佐町 面積の大半が山林で、吉野川の源がこのあたりから始まっているんですよね、と知ると、土佐町の空気のすこし重い感じが、なんだかうなずける気がするんです。
- 中土佐町 港に揚がったカツオを、漁師が一本釣りで仕留めてくる、という事実が、久礼という町の背骨になっているんです。
- 奈半利町 奈半利駅の三階建ての駅舎は、ごめん・なはり線の終着点として、ちょっとおもしろい構造をしているんですよね。
- 南国市 高知空港に降り立つと、その愛称「高知龍馬空港」が坂本龍馬の名を冠した国内唯一の事例だと知って、すこしだけ土地の気風を感じるんですよね。
- 仁淀川町 仁淀川の水が、大渡ダムの奥で茶霧湖という名前になって静かに湛えられている、そのぐあいがなんだかいいんですよね。
- 日高村 仁淀川の支流が盆地をゆっくり巡る、そういう土地なんですよね。
- 三原村 山地がぐるりと囲む台地に、鉄道の線路はない。
- 室戸市 廃校になった小学校の水槽に、地元の海の生き物が泳いでいる。
- 本山町 吉野川の水が、山のあいだをゆっくり東へ流れていくんですよね。
- 安田町 ハウスの中でナスが育ち、その外では安田川が山の谷を縫って流れている。
- 梼原町 森の中に、隈研吾の建物がある、というのがまず、ふしぎでいいなあと思うんですよね。