日本の、ある章
三重県
29の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 朝日町 旧東海道沿いの丘陵に、博物館と図書館と児童館が、ひとつの建物のまわりに肩を寄せ合っている。
- 伊賀市 盆地をぐるりと山に囲まれた土地には、どこか内向きな、でも豊かな時間の積み重ねがあるんですよね。
- 伊勢市 おかげ横丁の石畳を歩いていると、江戸時代の門前町がそのまま商いの場として生きていることに、すこし驚くんですよね。
- いなべ市 員弁川の流れが、鈴鹿山脈の裾をゆっくりなぞっている。
- 大台町 霧の中に、大台茶の茶畑がある。
- 尾鷲市 雨が多い、というより、雨が土台になっている町なんです。
- 亀山市 鈴鹿山脈と布引山地に挟まれた盆地に、いくつもの道が集まってくる。
- 川越町 海に向かって、ほとんど段差のない土地がずっと続いているんですよね。
- 木曽岬町 木曽三川の水が、ゆっくりと伊勢湾へ流れ込む、その河口のすぐそばに、この町はあるんです。
- 紀宝町 熊野川が和歌山との境をゆっくり引いていて、その河口のそばに鵜殿駅がぽつんと立っている、そういう場所なんですよね。
- 紀北町 リアス式の入り江に漁港がいくつも刻まれ、島勝や三浦の船が朝の海に出ていくのを、少し高いところから眺めていると、ここの暮らしの単位がわかってくる気がするんですよね。
- 熊野市 熊野灘から吹いてくる風が、波田須や新鹿の漁港にかかるころ、干物の塩気がほんのりと鼻をくすぐるんですよね。
- 桑名市 蛤の貝殻を焼いて作る貝灰が、この土地の職人仕事の長さを、ひとつの素材で教えてくれるんです。
- 菰野町 鈴鹿山脈から流れ下る三滝川のそばに、湯の山温泉の湯気がある。
- 志摩市 リアス海岸の入り江に、真珠の筏がゆらゆらと浮かんでいる。
- 鈴鹿市 伊勢形紙の細かな刃の跡と、鈴鹿サーキットのエンジン音が、おなじ市域に重なっているって、ちょっとふしぎでいいなあと思うんです。
- 大紀町 宮川の水音が、どこまで歩いても聞こえてくる土地なんですよね。
- 多気町 多気駅のホームに立つと、線路がふたてに分かれていくのがよく見えるんですよね。
- 玉城町 田丸城跡の石垣に手をあてると、北畠氏がここに城を構えた時代から、参宮客が宿をとった街道の記憶まで、ずいぶん長い時間が指先に届く気がするんです。
- 津市 枕草子に名前が出てくる古い湯が、いまも山あいに静かにある、というのが榊原温泉なんですよね。
- 東員町 員弁川のゆるやかな流れに沿って、工場の屋根と田んぼが並んでいる。
- 鳥羽市 港に水揚げされた伊勢えびや浦村かきが、ふだんの買い物の延長にある、というのがこの町のおもしろいところなんですよね。
- 名張市 赤目四十八滝の水音は、ずっと昔からそこにあって、修験者も、伊勢参りの旅人も、その音を聞きながら通り過ぎていったんですよね。
- 松阪市 伊勢参宮街道をたどると、松坂商人たちが商いを広げていた頃の空気がほんの少し残っているんですよね。
- 南伊勢町 養殖いかだが浮かぶ五ヶ所湾の水面は、朝のひかりをゆっくり受け取って、真珠やハマチやアオサノリをそだてているんですよね。
- 御浜町 玉砂利を踏む音が、足の裏からじんわり伝わってくるんですよね。
- 明和町 水田の向こうに、ひらたい遺跡が静かに横たわっている。
- 四日市市 夜、コンビナートの灯りが伊勢湾に映るのを見ていると、この街がどれだけ長い時間をかけて、いまのかたちになったかを、すこし実感するんですよね。
- 度会町 宮川のほとりで、度会茶の葉が風にそよいでいる。