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この場所の物語
港に水揚げされた伊勢えびや浦村かきが、ふだんの買い物の延長にある、というのがこの町のおもしろいところなんですよね。鳥羽温泉郷には安楽島温泉や本浦温泉のような、地元の人がふらっと使うような湯もあって、観光地のはずなのに、どこかくつろいだ空気が抜けない。
海の博物館に並ぶ木造船を眺めていると、真珠養殖や海女漁がこの海でずっと続いてきたことが、じわじわと伝わってくるんです。神島という離島には三島由紀夫の小説の舞台が今も残っていて、市営定期船に乗ってそこへ渡る、というだけで、すこし別の時間に入り込んだような気持ちになれる。
近鉄の鳥羽駅を起点にすれば、半島の内側にも離島にも動けるし、伊勢湾フェリーで海を渡るルートも使える。PCを持ち込んで海の博物館のそばに滞在しながら、午後は菅島灯台のあるレンガ造りの岬まで歩いてみる、そんなふだんの一日が自然に組み立てられる町です。市域全体が伊勢志摩国立公園のなかにあるのに、漁師の暮らしと観光客の往来がふつうに混ざり合っているのが、鳥羽のいちばんの手触りかもしれないなあ。
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