日本の、ある章
栃木県
25の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 足利市 渡良瀬川のそばに立つと、山地と平野がちょうどぶつかる場所に自分がいることを、からだで感じるんですよね。
- 市貝町 道の駅サシバの里いちかいの直売所に、朝どれの野菜が並ぶ光景を見ると、ここが農業と工業のちょうど境い目にある町だということが、すっとわかるんですよね。
- 宇都宮市 大谷石の岩壁に彫られた仏像たちが、ひんやりした岩肌の奥でこちらを見ている、あの感じがずっと頭に残るんですよね。
- 大田原市 奥州街道の宿場町として栄えた城下町の品格が、ここではまだ地面の下からにじみ出ているんですよね。
- 小山市 思川のほとりに、湯けむりのたつ場所があるんです。
- 鹿沼市 鹿沼組子の細かな木の格子を、指でそっとなぞりたくなる気持ち、わかりますか。
- 上三川町 田川がすっと南北に流れる、平らな関東平野のなかに、上三川はあるんです。
- さくら市 温泉パンのやわらかさを、道の駅きつれがわで手に取ったとき、この町のぐあいがすこしわかった気がするんですよね。
- 佐野市 天明鋳物という言葉を、はじめて目にしたとき、なんだかずっしりとした感触を想像しませんでしたか。
- 塩谷町 尚仁沢の水は、飲んでみると、すこし驚くほど柔らかいんですよね。
- 下野市 奈良時代の礎石が、ふだんの散歩道のすぐそばにある、というのがこの土地のおもしろさなんですよね。
- 高根沢町 水田が広がる平坦地のまんなかで、「したつづみ」という米の名前を聞いたとき、この土地が自分の仕事に静かな自信を持っているんだなあと感じました。
- 栃木市 黒漆喰の蔵が、巴波川の水面にそのまま映っているんですよね。
- 那珂川町 那珂川沿いの丘陵に、古墳と横穴墓がいくつも眠っているんですよね。
- 那須烏山市 那珂川の水が石をなでる音を聞きながら、烏山和紙をつくる手の動きを想像していると、この土地が中世からずっと、手と水で何かをつくり続けてきた場所なんだなあと、しみじみ感じるんですよ。
- 那須塩原市 那須疏水が引いた水が、かつての不毛な台地をひとつひとつ耕してきた、という話を聞くと、この土地の気性みたいなものが、すこしわかる気がするんですよね。
- 那須町 殺生石のあたりでは、地面から白い煙がじわじわと出ていて、ああ、ここは山がまだ生きているんだなあ、と思うんですよね。
- 日光市 いろは坂を上りきったところで、空気がすこし変わるんですよね。
- 野木町 赤煉瓦の窯が、ひっそりと野木の空気を引き受けているんですよね。
- 芳賀町 ライトレールが丘陵のあいだをゆっくり走って、工業団地の敷地と梨畑のあいだを縫っていく、そういう景色が芳賀町にはあるんです。
- 益子町 土のにおいが、どこからともなく路地にただよっている。
- 壬生町 「おもちゃのまち」という駅名が、路線図の中にぽつんとあるのを見つけたとき、すこし笑ってしまうんですよね。
- 真岡市 真岡木綿の織り目みたいに、この土地には幾重もの層がある、と感じるんですよね。
- 茂木町 那珂川に鮭が遡ってくる、というのはちょっとふしぎな話で、栃木の山あいにそんな光景があるんですよね。
- 矢板市 高原山の南の裾に、りんご畑と水田が段々に広がっていて、その向こうに箒川が静かに流れているんですよね。