水田が広がる平坦地のまんなかで、「したつづみ」という米の名前を聞いたとき、この土地が自分の仕事に静かな自信を持っているんだなあと感じました。東に丘陵、西に鬼怒川、そのあいだを農地がゆったりと満たしている高根沢町は、ふだんの暮らしを置く場所として、過不足のないぐあいをしているんですよね。宝積寺駅前のCREATORS DEPARTMENTがあったり、医療機器や自動車部品の工場が田んぼのそばに建っていたりして、稲作とハイテク産業がさりげなく隣り合っているのも、ちょっとおもしろい。
道の駅たかねざわ 元気あっぷむらには温泉と物産館が一緒になっていて、仕事を終えた夕方にそこへ寄って、金ゴマや苺を買って帰るような、ちょうどいい一日の終わり方が想像できます。隈研吾が設計したちょっ蔵館は大谷石を使った建物で、外から眺めるだけでも、この地域の素材への目のつけ方がわかる気がして、いいなあと思います。安住神社で継がれている上高根沢太々御神楽は県の祭り百選にも入っていて、土地の人たちが長いあいだ手放さずにきたものの重さが、そこにはあるんです。
御料牧場が移ってきた歴史を持ち、2019年の大嘗祭では悠紀地方斎田にも選ばれた水田地帯であることを知ると、この平らな景色が、ただの田園じゃなく見えてくる。宇都宮市の北東にあって駅もいくつかある暮らしやすさと、水辺の湧水地おだきさんのような静けさとが、同じ町のなかに並んでいる。そのへんのバランスが、この町のほんとうの手触りかもしれません。
栃木県高根沢町に泊まる
この地に重なるもの
- 宝積寺
- 下野花岡
- 仁井田
- 宝積寺