日本の、ある章
徳島県
24の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 藍住町 藍の甕を前にして、手のひらが青く染まっていく、あの感覚を知っている人には、藍住町の空気がすこし懐かしく届くんじゃないかと思うんです。
- 阿南市 朱色の顔料、辰砂。
- 阿波市 たらいうどんを囲む人たちの声が、吉野川の北岸にはよく似合うんです。
- 石井町 吉野川の土手に立つと、川の向こうに平らな農地がどこまでも続いていて、ああ、この町はこういう場所なんだなあ、とすっと理解できるんですよね。
- 板野町 白衣を着た旅人が、金泉寺の石畳をゆっくり歩いていくのを、ふだん暮らしている人たちがごく自然に見送っている、そんな町なんですよね。
- 海陽町 鉄道が線路を離れて、そのまま道路を走り出す。
- 勝浦町 立川渓谷の岩肌に、古生代の化石がそっと埋まっているんですよね。
- 上板町 藍すくもの、あの深くしずんだ青を、実際に見たことがありますか。
- 上勝町 勝浦川のほとりに立つと、山がすぐそこまで迫っていて、ああここはほんとうに山の中なんだなあ、と思うんです。
- 神山町 鮎喰川の水音が、谷のあちこちから聞こえてくるんですよね。
- 北島町 平らな大地に、チューリップの畑と工場の建屋が、ならんで立っているんですよね。
- 小松島市 港の記憶というのは、波止場の石積みよりも、もっとゆっくりとした場所に残るんですよね。
- 佐那河内村 園瀬川のそばで、すだちの実がぽつりぽつりと色づいていく。
- つるぎ町 急峻な斜面に、半田素麺の白い糸が干されている風景は、この土地の暮らしのかたちをそのまま見せてくれるんですよね。
- 徳島市 八月になると、藍場浜公園の演舞場に向かって、町じゅうの足が自然と動き出すんですよね。
- 那賀町 清流が岩を叩く音が、ふだんの暮らしの底に、ずっと流れているんですよね。
- 鳴門市 渦潮の音を、一度でも耳にすると、この土地の底にあるものが少しわかる気がするんですよね。
- 東みよし町 加茂の大クスの根元に立つと、樹齢約1000年という言葉よりも先に、その太さと気配が体に届くんですよね。
- 松茂町 堤防に松を植えて土地をつくった、という話が、この町のいちばん古い記憶なんですよね。
- 美波町 大浜海岸の砂は、夜になるとウミガメが産卵にやってくる場所なんです。
- 美馬市 うだつの町並みを歩くと、漆喰の白い壁がずらりと続いていて、江戸の商人たちが建てたものが今もそのまま使われているんだなあ、と思うんですよね。
- 三好市 急な斜面に張りつくように、落合の集落が空へ向かって積み重なっているんですよね。
- 牟岐町 断崖が太平洋に落ちていく、その際に立つと、黒潮の風が思ったより温かいんですよ。
- 吉野川市 阿波和紙を漉く水の音と、吉野川のゆったりした流れは、どこかつながっている気がするんです。