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この場所の物語
白衣を着た旅人が、金泉寺の石畳をゆっくり歩いていくのを、ふだん暮らしている人たちがごく自然に見送っている、そんな町なんですよね。遍路道と讃岐街道が重なるこの場所には、約千二百年ぶんの往来の気配が、道の幅や石の置き方にそっとしみついている気がします。
道の駅いたのの直売所には、春にんじんやレンコンが並んでいて、吉野川下流の平地で育った野菜たちの、ちょっとした重みを手のひらで確かめられるんです。農業と遍路と、そのふたつがごく当たり前に隣り合っているのが、この土地のふだんの表情で、移り住んで自炊しながら暮らすと、そのぐあいがじわじわわかってくると思います。
大坂峠のふもとにはあせび温泉があって、御番所跡の役人住宅が今も日曜に開いている、そういう重なり方がいいんですよね。阿讃山脈と平地のあいだに立って、中央構造線が東西に走るこの地面の上で、旅の人も暮らす人も、おなじ道をすこしずつ歩いているんだなあ、と思います。
徳島県板野町に泊まる
この場所の中身
この地に重なるもの
- 板野
- 阿波川端
- 阿波大宮
駅