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この場所の物語
園瀬川のそばで、すだちの実がぽつりぽつりと色づいていく。そういうふだんの景色の中に、佐那河内村の時間があるんです。鉄道は通っていなくて、徳島バスが山あいを縫うように走る、そのくらいのつながりかたが、この村にはちょうどいいぐあいで、静かに暮らしたい人にとっては、むしろそのぐらいの距離感がうれしかったりする。
旭ヶ丸や古田山を背に、畑ではももいちごが育てられていて、村の図書館や大宮八幡神社が、日常のなかにごく自然に置かれているんですよね。住民自治の仕組みが今も続いているというのは、よそ者が来たときにも、なんとなく地に足のついた空気として伝わってくるものです。
徳島県唯一の村として、その「唯一」を大げさに見せない落ち着きがあって、いきものふれあいの里を歩いてみると、山林の手触りがそのまま残っているのがわかります。すだちとももいちごという、ちいさいけれど確かな産物を持つ土地は、それだけで自分のかたちを知っているんだなあ、とおもうんです。
徳島県佐那河内村に泊まる