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この場所の物語
堤防に松を植えて土地をつくった、という話が、この町のいちばん古い記憶なんですよね。吉野川の河口に広がる三角州の低地、松茂町には、そういう「人が手をかけて育てた場所」という感触がいまも残っています。鳴門金時(松茂美人)やレンコンが畑でつくられ、紀伊水道ではちりめんや海苔が獲れる。ふだんの暮らしの食卓が、そのまま土地の歴史と続いているんです。
Matsushigeート(マツシゲート)というコワーキングスペースがあって、隣には図書館もある。PCを開いて、ちょっと本を取りに行って、また戻ってくる、そういう一日がここでは組み立てやすいんです。徳島阿波おどり空港が町のなかにあるから、国内のどこかへ出かけることも、どこかから来ることも、わりとすんなりできる。多拠点で動く人にとって、空港と静けさが同居している場所というのは、なかなかないんですよ。
松茂町歴史民俗資料館では、阿波人形浄瑠璃の資料と藍染め体験が待っていて、大正時代の邸宅を使った樫野倶楽部が今も使われている。古いものが「展示」じゃなくて「現役」でいる、そのぐあいがこの町のおもしろさで、旅の途中に立ち寄った人も、なんとなく長居したくなるんだと思います。
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