日本の、ある章
広島県
23の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 安芸太田町 三段峡の遊歩道を歩いていると、足の下から岩の冷たさがじんわり伝わってきて、水音だけが耳をふさぐんですよね。
- 安芸高田市 郡山城跡に立つと、丘陵がいくつも重なって、どこまでが城の敷地だったのか、見当がつかなくなるんですよね。
- 江田島市 小用港のフェリー乗り場で、広島港行きの船を待っていると、瀬戸内の光がゆっくりと水面を動いているのがわかるんです。
- 大崎上島町 フェリーが竹原港を離れると、すこしずつ島の輪郭がはっきりしてくるんですよね。
- 大竹市 海と工場の煙突が、おなじ空に並んでいる。
- 尾道市 坂の途中にある艮神社の楠が、港からの風をそのまま受け止めているんですよね。
- 海田町 西国街道の宿場として人が行き来していた記憶が、いまも海田市駅のあたりの街並みにうっすらと残っているんですよね。
- 北広島町 中国山地の山並みが島根との県境まで続いて、その稜線のあいだに、雪の重さを知っている暮らしがある。
- 熊野町 筆を持つ手の動きを、職人が静かに見せてくれる場所が、この町にはあるんですよね。
- 呉市 鉄と海の匂いが、街の骨格に染み込んでいるんですよね。
- 坂町 森山の稜線と瀬戸内の海面がほぼ同時に目に入る、というのが坂町のふしぎなぐあいなんですよね。
- 庄原市 中国山地の奥に、ヒバゴン饅頭という土産物がある。
- 神石高原町 石灰岩が長い時間をかけて刻んだ渓谷の底に、川の音だけが響いている、そういう場所なんですよね。
- 世羅町 台地の上に、梨とぶどうと、それを仕込んだワインがある、というのがいいんですよね。
- 竹原市 重要伝統的建造物群保存地区の路地を歩くと、白漆喰の壁と格子窓が、江戸の製塩業や酒造業で栄えた日々の残像をそのまま立ち上げてくれるんですよね。
- 廿日市市 宮島口のフェリー乗り場から、大鳥居が海の上にぽつんと立っているのが見えるんですよね。
- 東広島市 酒蔵通りの白壁と赤瓦が、西条の空に静かに並んでいるんですよね。
- 広島市 太田川のデルタに、街はひらけているんですよね。
- 福山市 備後絣の藍と、JFEの炉の赤が、おなじ平野に重なっている——そんな土地なんですよね、福山というのは。
- 府中市 花崗閃緑岩が風化してごろごろと積み重なった岩礫帯、久井・矢野の岩海は、洞窟状の空洞まで持っているんですよ。
- 府中町 向洋駅の改札を抜けると、工場の気配がすぐそこにある。
- 三原市 新幹線が止まる駅のすぐそばに、石垣がひっそり残っているんですよね。
- 三次市 晩秋から早春にかけて、三次盆地には深い霧がおりてくるんですよね。