日本の、ある章
滋賀県
19の町や村。順位ではなく、ただ並んでいる。まだ、行ってない町がある。
- 愛荘町 田んぼの向こうに、醤油の香りがただよっている、というのがこの町の第一印象かもしれないんですよね。
- 近江八幡市 八幡堀の水が、城下町の石畳のすぐ脇を、ほんとうに静かに流れているんです。
- 大津市 琵琶湖の水面が、比叡山の稜線と空のあいだで、ただそこにある、という感じがするんですよね。
- 草津市 草津駅の改札を出ると、ホームの向こうにはすぐ琵琶湖線の線路が続いていて、京都まで新快速で二十分ちょっとという事実が、この街のふだんの暮らしをそのまま説明しているんですよね。
- 甲賀市 信楽焼のたぬきが、窯元の軒先でぽつりと雨に濡れているのを見たとき、この土地の気質がすこしわかった気がしたんですよね。
- 甲良町 犬上川の扇状地に稲が並ぶ景色は、ただ広いというより、どこか整っているんですよね。
- 湖南市 野洲川の流れが東から西へと市域を横切り、南北は山に囲まれた、すこし閉じたかたちの盆地なんです。
- 高島市 針江区の川端(かばた)に、ちいさな水の音がある。
- 多賀町 糸切餅の白さって、なんだかこの町の地層みたいだなあ、と思うんですよね。
- 豊郷町 扇状地の上に、ほとんど段差のない低い土地がひろがっている。
- 長浜市 黒壁スクエアの路地をすこし外れると、大通寺の屋根が静かに空に乗っているのがわかります。
- 東近江市 五個荘金堂町の商家の白壁を、愛知川から吹く風がそっとなでていくんですよ。
- 彦根市 彦根仏壇の金箔細工が、商店の奥でひっそり光っているのを見ると、この城下町の手仕事の深さをすこし感じるんですよね。
- 日野町 鈴鹿山脈の綿向山が西の空に重なって見える、あの感じが、この町の基調音なんだと思います。
- 米原市 新幹線が米原駅に滑り込む、その短い停車時間のあいだに、ホームの向こうに伊吹山の稜線がちらりと見えることがあるんですよね。
- 守山市 野洲川が長い時間をかけて押し出した平らな土地に、守山はある。
- 野洲市 三上山の裾野に、銅鐸が眠っていた土地なんですよね。
- 栗東市 花崗岩に彫られた狛坂磨崖仏が、山の斜面でずっとそこにいる、という事実がおもしろいんですよね。
- 竜王町 苗村神社の国宝の西本殿は、木の組み方がとても古くて、見ていると、ここに人が長く手を合わせてきたんだなあ、ということが、じんわりと伝わってくるんです。