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この場所の物語
田んぼの向こうに、醤油の香りがただよっている、というのがこの町の第一印象かもしれないんですよね。丸中醤油の伝統工房がいまも動いていて、近江上布や秦荘紬といった手仕事も、ふだんの暮らしのそばにある。旧中山道の愛知川宿が通っていた道筋には、藤居本家や愛知酒造の気配もあって、ものをつくる時間の積み重ねが、土地の厚みになっているんだなあ、と思います。
愛知川駅のコミュニティハウス「るーぶる愛知川」では定期的に絵画展が開かれていて、町立図書館も二館ある。PCを開いて仕事をしながら、夕方には金剛輪寺まで歩いてみる、というふだんの一日がごく自然に組み立てられる場所で、そういう日々の組み立てやすさが、ここに長くいる人を支えているんだと思います。
山比古湧水をはじめとする水に恵まれた地形と、鈴鹿の山なみを背にした田園の広がりは、どこか静かな格調があって、愛荘町立歴史文化博物館でその来歴をたどると、秦氏という渡来系の氏族がこの地に根を張っていたことも見えてくる。手仕事と水と信仰が、ひとつの土地にこんなふうに重なっているのは、すこしふしぎでいいなあ、と思うんですよ。
滋賀県愛荘町に泊まる
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