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この場所の物語
犬上川の扇状地に稲が並ぶ景色は、ただ広いというより、どこか整っているんですよね。鈴鹿連峰から琵琶湖へとなだらかに傾く地形が、水の流れをやさしく決めていて、その水が田んぼを満たしている。古代の葛城氏や犬上氏がここに根を張ったのも、この土地の安定したぐあいを、ずっと昔の人たちも感じていたからじゃないかなあ、と思うんです。
西明寺の本堂や三重塔は、平安の時代からこの農村の空気の中に立っていて、それがふだんの暮らしの隣にある、というのがいいんですよね。近江鉄道の小さな駅を降りて、国道307号を少し歩けば、田んぼと社と古刹が、ごく自然に続いている。長くここにいると、朝に近所を散歩して、夕方に西明寺まで歩いてみる、というような一日がつくれそうで、それがすこし、うれしいんです。
甲良神社の権殿や在士八幡神社など、古代から中世にかけての信仰の痕跡が、農地のあいだにそっと残っている。訪日客がここに来たとき、整備された観光地とはちがう、土地そのものの時間の重なりに出会えるんじゃないかなあ、と思います。佐々木道誉の墓所である勝楽寺も、案内板より先に、静けさのほうが先に届いてくる場所で、それがこの町の素の表情なんだと思うんです。
滋賀県甲良町に泊まる
この場所の中身
この地に重なるもの
- 西明寺本堂
- 西明寺三重塔
- 西明寺本坊庭園
- 西明寺宝塔
- 西明寺二天門
- 甲良神社権殿
- 尼子
文化財
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