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この場所の物語
サクランボと工業団地が、同じ町に並んでいるんですよね。新潟東港の開港を機に工業化が進んだ聖籠町は、農村だった記憶と現在の雇用基盤とが、砂丘の起伏のようにゆるやかに重なっている。弁天潟風致公園では春の桜、夏のハス、冬の白鳥と、季節ごとに水辺の顔が変わって、ふだんの散歩のルートがそのまま自然観察になるんです。
新潟駅南口からバスでつながっているし、聖籠新発田ICもある。都市の便利さを手放さずに、観光さくらんぼ園でサクランボを摘んだり、聖籠観音の湯 ざぶ〜んでナトリウム塩化物強塩温泉に浸かったりする一日が、ごく普通に組み立てられるんですよね。
宝積院は737年に泰澄が開山したと伝わる古い寺で、越後三十三観音の札所にもなっている。歴史の重さを意識しなくても、そこにある、というだけで、暮らしの底に少し厚みが出る気がするんです。農業と工業と、日本海の浜辺と、お湯と。いろんなものがさりげなく一緒にある、そのぐあいが、この町のいちばんの手触りかもしれません。
新潟県聖籠町に泊まる