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この場所の物語
雁木通りを歩くと、屋根が少しずつ連なって、雨や雪をよけながら人が行き来できるようになっているんですよね。城下町の高田と、港町の直江津が、ひとつの市のなかに並んでいる。その双都的なぐあいが、この土地をおもしろくしているんだなあ、と思います。
高田城址公園のなかに、上越市立歴史博物館と小林古径記念美術館が並んでいて、ふだんの散歩の延長でするっと入れるのがいいんです。城址の敷地がそのまま暮らしの庭になっているような、そういう感じ。春日山城跡や水科古墳群も、遠くに行かなくても、自転車やバスでたどり着ける距離にある。歴史が観光スポットとして仕立てられているというより、地面のすぐそこに積み重なっているんです。
丸山酒造場の『雪中梅』を棚で見つけると、この土地の冬の深さをすこし想像できる気がします。上越コシヒカリやくびき牛、名立の漁港からくる魚介、そういうものが日常の食卓にある。訪れた人には「なぜここにこんなものが」という驚きかもしれないけれど、住む人にとってはあたりまえの品ぞろえなんですよね。北陸新幹線の上越妙高駅から、高田平野の向こうに米山の四角い稜線が見えたとき、この土地の奥行きがちょっとだけ見えてくる、そんな場所です。
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