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この場所の物語
加茂川の水音を聞きながら、加茂錦や萬寿鏡の酒蔵がある通りをぶらぶら歩いていると、ここが平安の昔から京都の賀茂神社の社領だったという話が、すこし納得できるんですよね。三方を山に囲まれて、川が町のまんなかを抜けていく、その地形がそのまま暮らしの輪郭になっている。
加茂駅に特急しらゆきが止まるので、新潟や長岡との行き来はふだんの移動として使えるし、駅から東へのびるながいきストリートには、日常の買い物がひととおりそろっている。桐箪笥や加茂縞といった伝統工芸が今もこの町でつくられているというのは、ものの気配がある暮らしをしたい人には、じわっとうれしいことだと思う。
粟ヶ岳を窓越しに眺めながら入れる加茂美人の湯があって、8月14日には加茂川の橋同士をつないだナイアガラ花火が上がる。726年創建の青海神社の廊下を歩くと、板がやわらかく鳴く。そういう小さな発見が、この町にはふつうに積み重なっているんです。
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