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この場所の物語
吉野杉の木肌が、山全体を覆うようにして立ち並んでいる。黒滝村の面積のほとんどが林野で、村を歩くというより、杉の森を歩いていたらたまに集落があった、という感じが正確なんですよね。国道309号を走れば洞川温泉へつながり、道の駅吉野路 黒滝で吉野杉やこんにゃくを手に取りながら、この村の輪郭がすこしずつわかってくる。
鳳閣寺の火渡り神事や、役小角が開いたとされる大峰山への往来の歴史が、村の底のほうに静かに沈んでいる。鳳閣寺廟塔の石を眺めていると、修験道の信仰がここでは観光の衣をまとわず、ふだんの地面に近いところにあるんだなあ、と感じます。旧役場庁舎を移築した黒滝・森物語村も、歴史を展示するというより、建物ごと暮らしの記憶を残しておく、という態度がいい。
「奈良のへそ」というキャッチフレーズは、冗談めかしているようで、案外まじめな自己紹介なんです。どこへ行くにも山を越える必要があって、だからこそ村の内側に独自の時間が育ってきた。PCを開いて仕事をする日も、赤岩渓谷の黒滝川の音が遠くに聞こえるような場所で、それはそれで、ちょっとうれしい一日になりそうです。
奈良県黒滝村に泊まる
この場所の中身
この地に重なるもの
- 鳳閣寺廟塔
- 吉野熊野
- 洞川温泉
文化財
自然公園
温泉