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この場所の物語
苔の森に囲まれた白駒の池の水面は、光の加減でずいぶんと表情を変えるんですよね。北八ヶ岳と奥秩父山塊のあいだに挟まれた小海町は、標高の高い湖沼がいくつも点在していて、松原湖の冬の結氷も、ふだんの暮らしの一部として静かにそこにある。
稲子湯温泉は、標高1500メートルの登山口に山小屋風の旅館が一軒あるだけで、飲泉できる冷鉱泉がひっそりと湧いている。PCを閉じて湯に入り、また開いて、という一日の繰り返しが、ここでは妙にしっくりくるんです。安藤忠雄が設計した小海町高原美術館も、北八ヶ岳の展望をそのまま取り込む造りになっていて、作品と山とが同じ視野に入ってくる、ちょっとふしぎな体験ができる。
小海駅からJR小海線で動ける範囲に、図書館も温泉も登山口もあって、生活の輪郭がわりと小さくまとまるんですよね。松原湖温泉の日帰り施設「八峰の湯」に立ち寄りながら、なんでもない午後をここで過ごす、というのが、この土地のいちばん素直な楽しみ方かもしれない。
長野県小海町に泊まる