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この場所の物語
くま川鉄道の終点、湯前駅の小さな駅舎は、1924年に建てられた登録有形文化財で、列車を降りた瞬間から、ここが九州山地の奥まった場所であることを、体がすこし、感じとるんですよね。
西に人吉盆地、東南に急峻な山地という地形のなかで、鎌倉時代から建ち続ける城泉寺の阿弥陀堂と、湯前まんが美術館が、同じ町の地図に載っているのがおもしろくて、古いものと新しいものの並び方が、この町のふしぎないいところだなあと思うんです。
ゆのまえ温泉「湯楽里」のコテージに数日泊まりながら、湯ーとぴあで採れたての野菜を買って、球磨焼酎を夜の友にする、そういうふだんの時間が、ここではごく自然に組み立てられていくんです。
政治風刺漫画家・那須良輔の作品を眺めた午後に、市房漬けをひとつ手に取って帰る、そんなちょっとした動線が、観光とも暮らしともつかない、いちばん居心地のいい時間をつくってくれる場所だと、わたしは感じています。
熊本県湯前町に泊まる
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