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この場所の物語
万葉集に詠まれた湯が、今も千歳川沿いに湧いているんですよね。万葉公園の足湯「独歩の湯」に足を浸しながら、竹内栖鳳や安井曾太郎がここで筆を走らせていたことを、ふと思ったりするんです。
湯河原温泉は、奥湯河原から浜湯河原まで、山と海のあいだに細長くのびた温泉街で、JR湯河原駅を起点に、散歩の範囲にいろんなものが収まっているのがいいんです。町立湯河原美術館は老舗旅館を改装した建物で、ふだんの午後をそこで過ごすのが、なんだかちょうどいい。
城願寺のビャクシンという巨樹は、境内にどっしりと立っていて、鎌倉時代からここにあるんだなあ、と静かに実感させてくれます。吉浜の漁港から上がる干物や、湯河原みかんが、この土地の暮らしの輪郭をつくっていて、温泉と文学だけじゃない、もうすこし素の顔がちゃんとあるんです。
海側には砂浜が広がり、山側には不動滝や梅林の幕山公園があって、どちらへ向かっても歩ける距離感が、長く滞在するほど、ここのぐあいのよさに気づいてくる、そういう場所なんですよね。
神奈川県湯河原町に泊まる
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