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この場所の物語
中津川の水音が、工場の稼働音と重なって聞こえてくる、というのがこの町の正直な手触りなんですよね。機械工業の団地と、丹沢山地へと続く山の縁が、思ったより近い距離に並んでいて、そのぐあいがすこし、ふしぎでいいなあと思います。
半原宮大工という言葉を、愛川町郷土資料館で初めて知る人も多いかもしれません。木を組む職人の文化が、この土地にずっと根を張っていたんだなあ、と感じると、自動車部品や建設機械をつくる工場群の風景も、少し違って見えてくるんです。三増合戦まつりや八菅神社春大祭のような祭りが今も続いているのも、そういう土の厚みのあらわれなのかもしれません。
宮ヶ瀬ダムのまわりや塩川滝へ歩いていくと、平日のふだんの時間に、ほとんど人と会わないこともあります。都市部から車で来られる距離にあるのに、そういう静けさが残っているのは、ちょっとありがたいことだなあと思います。南米系の住民も多く暮らしているこの町は、工業と山と、いくつもの時代の層が、わりと無造作に同居していて、それがそのまま、ここの素の顔なんです。
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