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この場所の物語
模擬坑道の奥に、実際の石炭層がそのまま残っているんです。夕張市石炭博物館の地下で、かつてここに何万人もの人が暮らしていたことを、岩肌が静かに教えてくれる。
炭鉱が閉じたあと、夕張はメロン畑の町になった。ぱんじゅうという、あんこ入りの丸いお菓子が今もふだんの店先に並んでいて、産業が変わっても暮らしの形がちゃんと続いているのが、なんだかうれしいんですよね。財政再建という重い言葉のそばに、こういうちいさな日常があるのが、この町の素の表情だと思う。
夕張岳には、蛇紋岩メランジュ帯という、ちょっとふしぎな地質があって、高山植物の群落が育っている。滝の上発電所のレンガ造りの建物は、北海道遺産に指定されていて、炭鉱の時代より前から水が力を持っていたことを思い出させてくれる。石炭の歴史村を歩くと、産業の跡と自然の静けさが、すこし不思議な具合に隣り合っていて、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭がここで生まれたことも、なんとなく納得できる気がするんです。
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