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この場所の物語
広大な畑に、小麦と甜菜とじゃが芋が、地平線のそばまでつづいているんです。火山灰の台地がなだらかに広がる更別村は、1890年に十津川村から移り住んだ人たちが開いた土地で、その開拓の気性が、農業のかたちにも、村のたたずまいにも、いまもちゃんと残っている気がします。
ふだんの暮らしをここに置こうとすると、畑の広さと静けさが、毎日の背景になるんですよね。さらべつカントリーパークで散歩をして、更別湿原でヤチカンバの葉が揺れているのをすこし眺めて、そういうゆっくりした時間が、暮らしの骨格になっていく。大規模な機械化農業が進む村だから、農の現場がいまもリアルに動いているのも、ここならではのことだと思います。
それから、十勝スピードウェイがある村だというのが、なんとも愉快なんです。北海道でただひとつのFIA公認の国際サーキットで、24時間レースや全日本ママチャリ12時間耐久レース、国際トラクターBAMBAといった催しが、この静かな農村の台地の上で開かれる。畑とサーキットが同じ地平にある、そのちぐはぐな感じが、更別村のいちばん素の表情かもしれないなあ。
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