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この場所の物語
石造りの銀行が、今も通りにどっしりと立っているんですよね。旧三井銀行小樽支店の石柱を見上げていると、明治からの商港の記憶が、ふだんの散歩道にそのまま残っているんだなあ、と実感する。
小樽運河のそばの倉庫群を歩いて、田中酒造の暖簾をくぐって、夕方のガラス工芸の店先で切子の赤い光を見る、そういうひとつながりの時間が、ここでの一日になるんです。市立小樽文学館には小林多喜二の資料が並んでいて、港と人と言葉がこの街でどう絡み合ってきたかを、静かに教えてくれる。
札幌から函館本線で三十分というのは、どこかで暮らしながら小樽を「もうひとつの場所」として使うのに、ちょうどいい距離感なんですよ。ニセコ積丹小樽海岸の自然公園を背負い、海と丘のあいだにぎゅっと詰まったこの街は、観光地でありながら、縄文のストーンサークル・忍路環状列石や続縄文の壁画遺跡まで抱えていて、掘れば掘るほど出てくる、そういう土地なんですよね。
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