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この場所の物語
風が、まず来るんですよね。年間を通じて強く吹き続ける岬の風が、えりも町という場所の第一印象をほとんど決めてしまう。断崖と岩礁が連なる襟裳岬に立つと、その風のなかに昆布の潮のにおいが混じっていて、ここが漁の町であることを体がさきに知るんです。
日高昆布とウニを水揚げする漁港が点在し、えりも港の朝はふだんの暮らしの密度が高い。長くここに滞在すると、海霧の多い夏の涼しさと、冬の穏やかさという、ちょっとふしぎな気候のリズムに体がなじんでくる。猿留山道や豊似湖へ歩いて出かけて、また港に戻ってくる、そういう一日の組み立てがごく自然にできてしまうんです。
緑化事業で砂漠から森に変わった丘の話は、風の館に行くとその経緯がわかるようになっていて、土地の来し方を知ることで景色の見え方がすこし変わる。1889年に初めて灯された襟裳岬灯台が、いまも太平洋に向かって光を出しているというのも、なんだかいいなあと思うんですよね。遠くから来た人にとっても、ここに長くいる人にとっても、この風と光の加減は、ほかでは代えのきかない手触りだと思います。
北海道えりも町に泊まる
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