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この場所の物語
地獄谷の噴気が、朝の空気をじわりと白く染めていく。登別温泉には9種類の泉質が湧いていて、毎分3000リットルという量が地面の下から押し上げられてくるんですよね。江戸時代から人が集まり、日露戦争の傷病兵が体を癒しに来た場所でもある、という重なりがあって、湯の歴史がすこし厚みをもって感じられる土地なんです。
夢元さぎり湯でふだん使いの湯をつかいながら、温泉街のターミナル近くで一日を折り返す、そういうリズムがこの土地には自然にある気がします。四方嶺の上にのぼりべつクマ牧場があって、ロープウェイで上がれば活火山・日和山の気配をすぐそこに感じられる。キウシト湿原は環境省の重要湿地に選ばれていて、湯の賑わいとは別の、しずかな顔がそこにあるんです。
登別マリンパークニクスの北欧ロマンをテーマにした水族館が観光地の一角にあって、工業地帯と酪農と温泉と、ぜんぶがひとつの市のなかに並んでいる。その取り合わせがちょっとふしぎでいいなあ、と思うんですよね。どこかひとつの顔に収まらない土地だからこそ、長く滞在するほどに、知らなかった輪郭がもうひとつ、またひとつと見えてくる。
北海道登別市に泊まる
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