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この場所の物語
道の駅いとだに並ぶバラや洋ランを見ていると、この土地がずいぶん遠くまで来たんだなあ、と思うんですよね。かつて豊国炭鉱をはじめ六十近くの炭鉱が稼働していた地面の上で、いまは花や木工芸品が育っている。その転換のふくらみを、直売所の棚がそっと教えてくれるんです。
中元寺川が南北に貫き、東の盆地と西の烏尾峠という二層の地形が、暮らしにちょうどいい奥行きをつくっています。新烏尾公園の遊歩道を歩けば、古代に筑前国と豊前国の国境だった峠道のかたちがまだ残っていて、ふだんの散歩がすこし別の時間に滑り込む感じがあります。水落の滝のそばを通り、糸田線の小さな駅を使いながら一週間ほど過ごすと、盆地のリズムというものが体に入ってくるんです。
糸田祇園山笠の季節になると、産業転換を重ねてきた町が、ちゃんと祭りを手放さずにいることがわかる。イチゴやミニトマトを買って、泌泉(たぎり)という名の湧泉の由来を調べて、それだけで一日がちゃんと埋まる。そういう土地なんですよね。
福岡県糸田町に泊まる
この場所の中身
この地に重なるもの
- 糸田
- 豊前大熊
- 松山
駅