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この場所の物語
椿の実が搾られる音、というのを想像してみると、この島のことが少しわかる気がするんですよね。製油センターで椿油になるまで、島の人たちは何代もかけてその仕事をつないできた。平地がほとんどない火山の地形で、淡水さえ乏しかった場所で、それでも暮らしを組み立ててきた、その積み重ねが、利島の空気の底にある。
宮塚山をぐるりと椿畑が覆い、北側の港のそばに村落がかたまっている、という島の構造がまた、すこしふしぎでいいんです。東京都心から海路でやってくるのに、着いた瞬間から「遠くに来た」という実感がある。大サザエやイセエビ、ハバノリといった海のものが食卓に並ぶ暮らしは、物流の外側で自給の精神を保ちながら、静かに続いている。
ここで数日をすごすと、PCを開く手が少し遅くなる。それは怠けているのではなくて、島のリズムに自分のテンポが合ってくる、ということなんだと思う。カケンマ浜の白砂は神津島から運んできたものだと知ると、この小さな共同体がどれだけ工夫を重ねてきたかが、砂粒のひとつひとつから伝わってくるようで、なんだかうれしくなる。
東京都利島村に泊まる
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- 宮塚山
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