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秩父夜祭
師走の夜空に、花火が上がる。 秩父夜祭。京都の祇園祭、飛騨の高山祭とならぶ、日本三大曳山祭のひとつ。 高さ7メートル、重さ十数トン。提灯をまとった笠鉾と屋台が、坂を引き上げられてい…
師走の夜空に、花火が上がる。
秩父夜祭。京都の祇園祭、飛騨の高山祭とならぶ、日本三大曳山祭のひとつ。
高さ7メートル、重さ十数トン。提灯をまとった笠鉾と屋台が、坂を引き上げられていく。
起源は18世紀。秩父神社の例祭として、絹の市とともに育った。秩父銘仙で栄えた町が、一年の終わりに神へ捧げる祭りである。
クライマックスは12月3日の夜。「団子坂」という急な坂道を、男たちが声をそろえて屋台を曳き上げる。その頭上で、冬の澄んだ空に、数千発の花火が割れる。
寒い。だからこそ、火の色が冴える。
動く陽明門、と人は呼ぶ。彫刻も、金具も、惜しみなく。
ユネスコ無形文化遺産。
横瀬川のほとりに一軒だけある不動の湯の湯気を思うと、この盆地の静けさがすこし伝わる気がするんです。市域の大半を森が占める秩父の地は、荒川が河岸段丘を刻みながら流れ、そこに武甲山の石灰石採掘の音と、秩父夜祭の囃子の記憶が、ふだんの暮らしと一緒に重なっているんですよね。
秩父銘仙の絹の手触りや、しゃくし菜漬けの素朴な酸味が、物資の集散地として生きてきた町の歴史をそっと教えてくれます。栃本関跡まで足を伸ばせば、江戸時代に甲州と結んでいた秩父往還の道筋が、いまも山の中にひっそり残っているんだなあ、と気づく。
古秩父湾の海棲哺乳類化石が地面の下に眠っているという事実も、この土地のふしぎでいいなあ、と思うところで、埼玉県立自然の博物館でその標本と向き合っていると、山に囲まれた盆地がかつて海だったことを、頭ではなく体でゆっくり受け取れる気がします。西武秩父線で都心とつながりながら、イチローズ・モルトのウイスキーが醸される静かな産地として、この町は自分のぐあいで動いているんです。
埼玉県秩父市に泊まる
この地に重なるもの
- 栃本関跡
- 古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群
- 内田家住宅(埼玉県秩父市蒔田)
- 秩父多摩甲斐
- 不動の湯
- 唐松尾山
- 大洞山
- 白石山
- 西武秩父
- 御花畑
- 秩父
- 大野原
- 影森
- 和銅黒谷
- 三峰口
- 武州中川
- 武州日野
- 浦山口
- 白久