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長野県の他の市区町村
この場所の物語
釜口水門のあたりに立つと、諏訪湖から天竜川へ水が押し出されていく、その出発点にいるんだなあ、とちょっとおどろく。岡谷という町は、そういうふうに「ものが生まれ出る場所」として長く動いてきた。明治から昭和にかけて製糸の機械が鳴り続け、やがて精密機械の工場が静かにその音を引き継いだ。
岡谷蚕糸博物館に行くと、実際に稼動している宮坂製糸所の機械を見ることができて、ふだん使っている「精密」という言葉が、もう少し体のある言葉になって戻ってくるんですよね。図書館は諏訪地域の六つの市町村とネットワークをつないでいるし、岡谷スカラ座は諏訪地域でここだけの常設映画館で、アート系の作品もかかる。暮らしを組み立てるための場所が、ちゃんとそろっているんです。
うなぎを食べる文化も、信州味噌の醸造も、この町の食の層をつくってきた。イルフ童画館では、岡谷出身の童画家・武井武雄の絵が迎えてくれる。鉢伏山を背に、湖と川と工業と食と絵本が、ひとつの盆地の中でふしぎな具合に重なっている。
長野県岡谷市に泊まる