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この場所の物語
十勝港から荷が出てゆく朝、農産物と小麦と飼料の匂いが埠頭にまじり合っているんですよね。山から海へ、西の日高山脈と東の太平洋が、この町のふだんの暮らしをそのまま引っ張り合っている。
広尾町は、漁業と農業がとなり同士に立っている土地で、音調津の漁港で水があがり、十勝港で荷が積まれる、その繰り返しのなかに、寛政のころからの商いの記憶がひっそり重なっています。十勝神社に残る円空仏の話も、歴史の層がいくつも積み重なっていることを、すこし実感させてくれる。
そして冬になると、広尾サンタランドのイルミネーションが大丸山森林公園をつつみ、サンタカードが世界へ向けて発行される。海と山と開拓の町が、冬だけノルウェーとつながっているような、ちょっとふしぎでいいなあと思う時間が、ここにはあるんです。楽古岳のほうへ目をむければ、日高山脈襟裳の稜線が、そのにぎやかさをおだやかに引き受けている。
北海道広尾町に泊まる
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