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この場所の物語
毛ガニの籠が海から引き上げられる朝に、この町の一日は始まるんですよね。問牧や山臼の漁港に積まれた道具の気配、乾燥ナマコやホタテを扱う手つきのなかに、オホーツク海と向き合ってきた時間がそのまま残っている。
北見神威岬の断崖に立つと、海と山に挟まれたこの土地の地形がよくわかって、平地は川沿いのほんのわずかな帯だけなんだということに、すこし驚くんです。内陸では酪農が営まれ、沿岸では漁が続く、その二層の暮らしが枝幸という場所をつくっている。
ウソタンナイ砂金採掘公園には、明治の砂金ゴールドラッシュの記憶がそのまま地面の下に眠っていて、砂金掘り体験として今も手で触れることができるんです。オホーツクミュージアムえさしには目梨泊遺跡の出土品が並んでいて、アイヌ語で「岬」を意味するエサウシという地名の奥行きを、静かに教えてくれる。枝幸温泉ホテルニュー幸林の高台から眺めるオホーツク海は、ふだんの暮らしの延長にあって、特別なものと日常とのあいだがほどよくゆるんでいる、そういう場所なんですよね。
北海道枝幸町に泊まる