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この場所の物語
土岐川沿いの多治見ながせ商店街を歩いていると、飲食店の軒先にさりげなく美濃焼の器が並んでいて、それがふだんの暮らしの道具として置かれているんですよね。7世紀からつづく窯のまちというのは、そういうことで、セラミックパークMINOの岐阜県現代陶芸美術館で現代作家の作品を眺めた翌朝に、近所の窯元で同じ土から生まれた湯のみでお茶を飲む、そういうぐあいが自然にできるまちなんです。
多治見市陶磁器意匠研究所には2年間の研修コースがあって、デザイナーや技術者がいまもここで学んでいる。ものをつくることへの関心を持って移り住んだり、拠点のひとつに選んだりする人にとって、窯元やギャラリーや研究施設がまちのなかに点在しているのは、じわじわとうれしいことだと思うんです。名古屋まで電車で30分ほどという距離感も、ちょうどいいすこし遠さで、郊外の静けさとつながりやすさを両方手元に置けるんです。
多治見市モザイクタイルミュージアムは、旧工場の建物をそのまま使っていて、壁にも床にもタイルが貼られていて、訪れた人が「これ、うちの台所にあった」と言いたくなるような懐かしさと発見が混じっている。焼きもので生きてきたまちの手触りは、美術館の展示室だけじゃなくて、商店街の棚や、道端の石積みや、そういうところにも残っているんだなあ。
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