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この場所の物語
木の匂いというのは、空気にまじると、なんだかふだんの呼吸がすこし変わる気がするんですよね。大川市には、家具や建具をつくる工場が町のあちこちにあって、筑後川の水運で木材を運んできた頃からの仕事が、いまも続いているんです。大川家具という名前は、ただのブランドじゃなくて、この土地の人たちが長い時間をかけて積み重ねてきた手の記憶みたいなものだなあ、と思います。
散歩しながら筑後川のほうへ歩いていくと、昇開橋が見えてきます。鉄の橋げたが川の上にゆっくりと立っていて、国の重要文化財に指定されているんですけれど、観光地というよりも、ふだんの風景にすっと溶け込んでいる感じがいいんです。川沿いに漁港もあって、エツという魚がこのあたりで獲れるんですよ。
市立古賀政男記念館があったり、旧清力酒造事務所を使った市立清力美術館があったり、古いものをそのまま使い続けるのが、この町の自然なやり方なのかもしれないですね。ゆめタウン大川で買い物をして、大川温泉でひと息ついて、という一日のぐあいが、すんなり想像できる町です。木工まつりや昇開橋まつりのある日には、そこに住む人たちの顔が、すこし晴れやかになるんだろうなあ。
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