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この場所の物語
炭坑節の発祥地、という事実が、なんだかこの土地の気質をそのまま言い当てている気がするんですよね。三方を山に囲まれた盆地のなかで、かつて無数の人が地の底へ降りていき、また地上へ戻ってきた。田川市石炭・歴史博物館に所蔵される山本作兵衛のコレクションは、その暮らしを絵として残したもので、ページをめくるというより、誰かの記憶をそっとのぞかせてもらうような感覚があります。
旧猪位金小学校の校舎を使ったいいかねPaletteには、音楽スタジオも宿泊できる場所もあって、ここで数日すごすだけで、この土地のリズムがすこしわかってくる気がします。JR日田彦山線と平成筑豊鉄道の駅が点在していて、電車でぽつぽつと移動しながら、田川ホルモン鍋をたぐる夜があって、松原温泉で湯につかる夜があって、そういうふだんの積み重ねが、ここでの滞在をつくっていくんですよね。
川渡り神幸祭や岩戸神楽が今も続いていることと、チロルチョコをつくる松尾製菓がここにあることが、おなじ土地の話だというのが、なんかいいなあと思うんです。産業遺産と生活の音が、ごちゃっと混ざったまま、この盆地のなかで静かに続いている。
福岡県田川市に泊まる
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