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この場所の物語
江戸川の西岸を、高瀬舟が荷を積んで行き来していた記憶が、この土地の底にはまだ残っているんですよね。水路が縦横に走る西部の低地と、下総台地の高みに立つ旧徳川家松戸戸定邸、その落差のある地形が、松戸という場所の二重構造をそのまま体にしているような気がします。
矢切ねぎや二十世紀梨を扱う松戸市綜合卸売市場が、ふだんの食卓を支えているのもいいんです。東京まで出なくても、ちゃんと暮らせる厚みが、駅の数だけあちこちに分散していて、JR常磐線でも武蔵野線でも北総鉄道でも、自分の生活のリズムに合わせた乗り口を選べるんです。
本土寺のアジサイや、1898年竣工の煉瓦造水門・小山樋門のような、ふだん歩いていてふと出会う古いものの手触りが、この土地の時間の重なりをそっと教えてくれます。宿場町として栄えた水戸街道の面影と、高度経済成長期に広がった住宅地の景色が、同じ通りにさりげなく並んでいる、そういう土地なんですよね。
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