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この場所の物語
茶畑が、市域のあちこちに、ふだんの顔をして広がっているんですよね。狭山茶の産地として知られる入間は、畑のそばに住宅があり、その向こうに西武池袋線の駅がある、という距離感で暮らしている土地で、そのぐあいが、なんともいいなあと思うんです。
入間市博物館(ALIT)には茶室が併設されていて、展示を見たあとにお茶を一服できる。さいたま緑の森博物館では、狭山丘陵の雑木林そのものが展示物になっていて、里山体験の教室も開かれている。歴史の積み重ねを、むずかしく受け取らずに、体ごと触れられる場所がちゃんとあるんです。
高倉寺の観音堂は室町時代に建てられた国の重要文化財で、旧石川組製糸西洋館は1921年に建った迎賓館、円照寺の板碑もまた国の重要文化財と、歩いていると、あちこちに時代の層がそっと顔を出す。宿場町だった扇町屋の面影も残っていて、いるまんじゅうを手に入れながら、日光脇往還の道筋を想像するのも、たのしいひと時になるんです。加治丘陵の桜山展望台に上れば、晴れた日には富士山と都内の高層ビルが同じ視野に収まる。その眺めが、この土地の立ち位置を、ことばよりも正直に教えてくれる気がします。
埼玉県入間市に泊まる