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この場所の物語
足袋蔵の白い壁が、ふだんの商店街のなかにぽつりと残っているんですよ。それが行田なんですよね。かつて全国の足袋のほとんどをここで縫っていたという事実が、蔵の佇まいとして、ちゃんと今も立っている。足袋という、着物の足元をひっそり支えるものを作り続けてきた土地の気質が、この静けさと重なる気がします。
さきたま古墳公園に行くと、9基の大型古墳が、ほぼ平らな沖積平野にそのままの形で残っていて、ちょっとおどろくんですよ。埼玉県立さきたま史跡の博物館では、金錯銘鉄剣という国宝を目の前で見られる。歴史の教科書で読んだものが、ガラスケース越しにそこにある、というあの感じ、いいんですよね。
忍城跡に復元された御三階櫓を眺めながら、行田市郷土博物館でゆっくり埴輪を見て、自転車で足袋蔵の町並みをめぐる。そういう一日が、とてもふつうに組み立てられる土地です。高低差がほとんどない地形だから、歩いても、走っても、ペダルをこいでも、体への負荷がすくない。暮らすように滞在できる、というのはこういうことかもしれないな、と思います。
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